WEBマガジン詳細

Webマガジン Vol.46- October., 2021

Column:【解剖】LiDARの技術

<目次>

・はじめに
・LiDARとは
・LiDARで用いられる技術
・LiDARの今後と課題

はじめに

完全自動運転に欠かすことができないとされているLiDAR。近年では大手自動車メーカーに採用されるなど、その名前をよく耳にするようになってきています。
LiDARは主にレーザーと光センサで構成され、対象物までの距離を測るモジュールと説明する記事は見受けられますが、具体的にどういった技術で実現されているかまで言及されていることは多くありません。
本記事ではLiDARで用いられている技術である、レーザーの波長、スキャン方式および光センサを用いた測距方式について焦点をあててご説明します。

LiDARとは

Light Detection And Ranging(光による検知と測距)の略称で、光を対象物に照射し、その反射光を光センサで受けることで、距離を測定する方式です。
照射側には近赤外レーザーが用いられ、受光側の光センサはToF(Time of Flight)を用いて距離を測定する方式が主流です。

LiDARで用いられる技術

主にLiDARで用いられている技術をまとめたものが、以下のツリー図です。
レーザー側では波長とスキャン方式、光センサ側では測距方式に違いがあり、それらを組み合わせることで各社特徴を出しています。

【レーザー】
〇波長
主に近赤外線波長である905nmと1550nmのレーザーが用いられます。 人がいる環境においてレーザーの出力は、目に影響を及ぼさないとされるクラス1(JIS C 6802/EN 60825-1)に制限されています。

[905nm] ・発光効率がよく安価であるため、多くのLiDARに採用されています。

[1550nm] ・外乱光による影響が小さく、クラス1で規定されている出力制限が905nmに比べて大きいため長距離の測定が可能です。

〇スキャン方式
レーザーを広範囲にスキャンすることで、対象物およびその周辺の測距を可能にしています。

 [メカニカル]
モーターなど、駆動部を持ち合わせた機構でミラーを制御し、そこにレーザーを当てることでスキャンを実現します。1Dラインスキャン、2Dラスタースキャンがあります。

  <1Dラインスキャン>
  ・レーザーを垂直に並べ、そのラインを水平方向に移動させます。
  ・複数のレーザーおよび光センサが必要となります。

  <2Dラスタースキャン>
  ・水平方向1ラインずつのスキャンを、垂直方向に移動させます。
  ・水平方向と垂直方向用にそれぞれミラーが必要となります。スキャンの実現には高度な技術が求められますが、垂直方向のスキャン密度を変えられるなど、フレキシブルなスキャンが可能です。

 

[メカレス]
駆動部を半導体技術や光学技術で置き換えてスキャンを実現します。
ソリッドステート方式と呼ばれることもあり、MEMSミラー方式やOPA方式などがあります。

  <MEMSミラー>
  ・Micro Electro Mechanical Systemsの略称で、半導体上に形成されたミラーを制御することで、スキャンを実現します。
  ・スキャン範囲が狭いため、広範囲の情報を取得するために、[レーザー+MEMSミラー]の組み合わせが複数必要となります。

  <OPA>
・Optical Phased Arrayの略称で、光が回折および干渉する原理を利用し、半導体内でレーザーの進行方向を制御します。
・レーザー光の分配および位相の制御が必要となるため、伝送ロスが大きいです。

  [スキャンなし]
 スキャンを行わない方式です。

     <Flash>
     ・カメラのストロボのように、光を照射する方式です。
     ・光を拡散する必要があり、長距離の測定には不向きです。

【光センサ】
〇測距方式
レーザーが対象物に当たって反射した光をもとに、距離を測定します。ToF方式・FMCW方式があります。

 [ToF]
 ・Time of Flight(光の飛行時間)の略称で、Direct ToF法とIndirect ToF法があります。詳細については下記リンクをご覧ください。 
  https://www.cornestech.co.jp/tech/webmagazine/wm-2004-2/ 

 [FMCW] 
 ・Frequency Modulated Continuous Waveの略称で、レーザーの周波数を連続的に変調させ、返ってきたレーザー光の周波数のずれから距離を測定する方式です。
 ・距離以外にも、対象物の速度や角度も測定可能です。

LiDARの課題と今後

まだ試作段階である製品が多く、価格が高いことが課題として挙げられます。しかし今後、自動車への採用が加速することでより身近なものになっていくと予想されます。
LiDARは写真を撮影するカメラとは異なり、取得できる情報は物体までの距離と反射率であるため、人の存在は認識できるが誰であるかを特定することができず、プライバシーの観点で非常に有用だとされています。
最近では特に監視が必要とされる分野(人流計測・スマートシティなど)で、注目を浴びており、LiDARの今後にますます目が離せない状況です。

本記事に関するご質問やご要望等ございましたら、ページ下部のWEBマガジンお問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。

ページトップへ戻る