WEBマガジン詳細

Webマガジン Vol.27- Oct., 2018

Column: Boson How To – アナログ出力

Bosonには、背面に、外部装置とのI/Fを提供する80ピンのB2Bコネクタが搭載されていますが、カメラ制御を行ったり画像を得たりするためには、インターフェースボードを開発していただく必要があります。そこで、当社が販売しているBosonでは、必ず、アクセサリであるVPCキットを搭載させて頂いています。VPCとは、Video・Power・Controlの略で、要はビデオ信号出力取り出し、電源供給とカメラ制御を(Bosonの場合はUSBにより)提供するものです。それにより、同梱するBoson Applicationを用いれば、容易にサーマルイメージを得ることができ、Bosonの性能を確認いただくことができます。

図1 Boson

図1 Boson

VPCには、オプションとして、アナログビデオ出力できるものがありますので、それを用いれば、固定焦点のCCTVカメラとして評価していただくことも可能になります。しかし、VPCはあくまでもアクセサリですので、本格的にBosonを利用した製品開発上、量産品としてご利用いただくには、制約も発生してしまいます。

図2 BosonとVPCモジュール

図2 BosonとVPCモジュール

監視用途にフォーカスした場合、監視カメラの多くはCCTVカメラであり画像I/Fはアナログビデオです。もちろん、有線・無線ネットワークを使ってストリーミングをするケースもありますが、それについては他のwebマガジンで紹介させていただきました。
CCTVカメラの場合、制御はカメラ括り付けがほとんど、RS-232CならまだしもUSBは引き回したくないというお話を伺うこともありますので、BosonコネクタからBoson用電源と、ビデオ出力を引き出したうえで、ビデオエンコーダ、制御用ボードを近くに設置するか、場合によってRS-232Cドライバの搭載(と、ビデオ用コネクタ、RS-232Cコネクタ)が必要になります。

 

アクセサリ応用によるプロトタイプ

製品化に際し、最終的にはビデオエンコーダを搭載したボードを作るとしても、まずはコンセプト確認を含めてプロトタイプ、ということで、VPCを使ったうえで、電源供給し、アナログビデオを取り出すことを考えます。

VPCを搭載しているBosonは、USB type-Cを使ってホストから電源を受け取り、コミュニケーションを行います。前述の通り、VPCからはオプションによってアナログビデオを取り出すことができますが、そのビデオ信号は、通常のUSB-Cケーブル上にはありません。このため、オプションのカスタムケーブルを利用いただくか、DP Alt modeに対応したケーブルを用い改造する、もしくは自作することになります。今回はDP Alt modeケーブルを加工して、ビデオ信号を取り出すことにしました。もし、USB type-Cオスの、フルコンタクトのブレークアウトボードを入手することができれば、アナログビデオ出力を含め、Bosonと必要な接続のみを行うことができますが、調達に時間がかかりそうでしたので今回は見送りました(このための信号接続については、Bosonをご購入いただいたお客様向けにのみお知らせすることができます)。

図3 VPC

図3 VPC

電源としては、広く使われ入手しやすいLi-Poバッテリを使うことを検討します。しかし、このバッテリは充放電を誤ると非常に危険ですので、充放電回路として確立しているものを利用しました。

Bosonは、データシートによれば最大580mA必要(シャッター動作時)です。プロトとしては、1~2時間動作すれば、デモンストレーションとしては十分だと考え、ここでは850mAhのバッテリを用意しました。
充放電モジュールの出力は4.2V/1Aとなっているため、USBデバイスが必要な+5Vへ昇圧するDC/DCコンバータをつけ、アクリル板の上にホットボンドで取り付けたものが右写真になります。
右側USB microBは充電用電源入力、左端が+5V出力となります。
この状態でBosonをドライブさせてみると、2時間以上稼働しています。Bosonの温度が安定して、シャッターがあまり稼働しないためもあるかと思います。

図4 Li-Po バッテリと充電器&DC-DCコンバータ

図4 Li-Po バッテリと充電器・DC-DCコンバータ

 

図5 バラックセットでの動作試験

図5 バラックセットでの動作試験

以上を元に構成し試験したのが左の写真になります。Boson直下にあるtype-Cメスのブレークアウトボードを使い、信号確認をしている状況でのスナップショットになります。電源は、上記Li-Poバッテリで動作しています(充電中)。
実際には、信号確認ができていればこのブレークアウトボードは不要です。

構成と動作試験できた一式を、ガムの空き瓶(約φ60mm、高さ95mm)に納めてみました。少し、電源供給及びNTSCビデオ引き出しのために使っているUSBケーブルが長すぎましたが…。

図6 ガムの空き瓶に押し込んでみる

図6 ガムの空き瓶に押し込んでみる

これで、試験的に、アナログビデオ出力する赤外線カメラ装置ができた、ということになります。USBケーブル長をもうちょっと工夫するか、もしくは、もう少し背の高いビンを使うと良いかと思います。ケーブルグランドの中に、ちょうどBosonのレンズ部径の収まりが良いものがありますので、そちらを使うともっと「カメラっぽい」外見になります。

図7 アナログ出力のBosonとアナログビデオモニタ

図 7 アナログ出力のBosonとアナログビデオモニタ

Bosonが提供する画像出力

カタログでは、映像チャネルとしてCMOSまたはUSBと記載させて頂いています。映像チャネルのCMOSとはすなわち16bit parallelで、いくつかのデジタルデータフォーマットを選択可能です。
アナログフォーマットとしてはBT.656を選択することができます。VPCではこれを利用しています。すなわち、BT.656を選択してコンポジットビデオエンコーダを接続すると、いわゆるアナログビデオ信号を得ることができます。Boson上、この切り替え制御は、後に述べる制御チャネルを通して行います。

Boson仕様

 

コンポジットビデオエンコーダ(Video DAC)としては、次のような製品が該当します。

ADV7391(Analog Devices)、AK8813(AKM)、ML86640(Lapis Semiconductor / Rohm)

「CVBS DAC」等キーワードとして探してみてください。
ADV7391の場合、コンポーネント出力も可能ですが、AK8813、ML8640ではコンポジットあるいはS-Video出力になります。

図8 コンポジットビデオ(wikipediaより)、S-Videoもコンポジット

図 8 コンポジットビデオ(wikipediaより) 、S-Videoもコンポジットです。

図9 コンポーネントビデオ(wikipediaより)、D1端子と同じ

図 9 コンポーネントビデオ(wikipediaより)、D1端子と同じです。

コンポジット・コンポーネントビデオプラグとして、以上図ではピンプラグ(RCAプラグ)のものを示しましたが、BNCを使っているものもあります。

大抵の場合、ビデオエンコーダーは動作モード設定を必要とし、I2CあるいはSPIを用いていますので、トータルシステムとしてはBosonの制御チャネルに加えて、DACの制御用チャネルについての考慮が必要になります。
また、これらDACの性能は出力画質に影響がありますので、ご評価の上ご利用ください。残念ながら当社では取り扱いの製品はありません。

 

Bosonが提供する制御チャネル

カタログでは、制御チャネルとしてRS-232CまたはUSBと記載しています。これは、USB CDCを用いてBosonを制御できることを意味しており、映像チャネルとしてUVCを用いているときはUSBだけで映像と制御を行うことができます。
ここではRS-232Cを使って制御したいので、USBではなく、UART I/Fを使います。I2CがBosonコネクタに存在しており、既存のVPCにてビデオエンコーダが利用しているものと思われますが、現時点で、SDK上で自由にI2CホストあるいはI2Cデバイスとして動作できるようにはなっていません。結果として、ビデオエンコーダ制御と、Boson制御を行うマイコンが必要になります。

 

制御プログラム

 Webマガジンのケースでは、動画像ストリーミングを行うために比較的CPUパワーがあるプラットホームが必要でしたが、Bosonのシリアルコマンド制御とビデオエンコーダのI2C制御だけであれば、PICマイコンやArduinoクラスで十分にドライブできます。開発に際しては、短距離接続のうちであれば、ArduinoのUART端子とクロス接続できればOKということになります。もちろん、Arduinoボードのままで量産とはいかないかもしれませんが、基本的にオープンですから、どう作り込むかはみなさま次第です。

Arduinoソフトウエア開発の観点では、Boson SDKをArduino IDE上に移植することができればC/C++等でfunction callする形でプログラミングが可能になります。しかし、移植せずとも、Boson Software IDD記載のファンクションについて、ArduinoからBosonへ送るInput / Send parametersとそれに対するBosonの応答Output / Receive parameterによるシーケンスを作成していただくことで、Bosonの制御を行うことができます。その事例はSDKに含まれています。rawBosonというサンプルプログラムが該当します。
まずはBosonから画像出力を得るための設定からはじめると良いかと思います。DACの初期設定をお忘れなく。

図10 全体構成

図 10 全体構成

構成の試験

この構成のコンセプトを含めて試験を行うには、Boson Development Boardを用いると良いでしょう。このボードはBosonを中心に置いた装置開発を意図しており、Boson connectorすべてが2.54mmピッチヘッダに引き出されています。それを用いて、ブレッドボードや周辺デバイスの評価ボードなどと接続することができます。詳細は、「Boson Development Boardの使い方」を参照してください。

図11 Development Boardの利用

図 11 Development Boardの利用

前のページ

12
ページトップへ戻る