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Webマガジン Vol.16 - Oct., 2015

光音響顕微鏡(PAM)の今後の可能性


~ 国内初!商用向け光音響顕微鏡(PAM)セミナー開催報告 ~

■ 有機系小分子色素やナノ粒子などを用いた光音響プローブにまで及ぶ講演内容

  Vol.15誌上でもご案内させていただきましたが、8月3日(月)東京会場、8月4日(火)大阪会場にて『光音響顕微鏡(PAM)セミナー2015』を開講いたしました。本セミナーは商用向け光音響顕微鏡(PAM)としては、国内初となります。

  本セミナーでは、光音響技法国内外の先駆者である石原美弥先生(防衛科大学校 医用工学講座 教授 博士(医学))と、Lihong. V. Wang先生(「the SPIE Britton Chance Biomedical Optics Award」受賞者、米国ワシントン大学セントルイス校 Ph.D)をお招きし、第一部として石原先生より光音響技法の基本原理とその将来性を主にご講演頂き、その後第二部としてWang先生より豊富な映像を織り交ぜながら最新光音響技法を用いた具体的な応用例についてご講演いただきました。


  第一部講演の様子 石原美弥先生


  第二部講演の様子 Lihong. V. Wang先生

  この光音響技法を用いた生体イメージングは、生体内の情報(体調管理や疾患(がん、心疾患、糖尿病)等の指標となる血液(ヘモグロビン)分布や定量)を高分解能で非侵襲(非解剖)かつ無染色で計測可能な画期的な技術という事もあり、両会場共に活気あるセミナーとなりました。

  両ご講演後に行ったMPA社製光音響顕微鏡OR-PAM※を用いた実機デモンストレーションも終始好評で、様々な意見交換を図る事ができました。  ※(計測深度:最大1.0mm、計測範囲:20mm(X) × 20mm(Y))


  デモの様子1


  デモの様子2

■ 予想されるアプリケーションの飛躍的な拡大

  今回のセミナーでは、生体イメージング計測への利用での非侵襲(非解剖)かつ無染色に特徴を持つ光音響技法の有効性に関してご講演頂いた一方で、有機系小分子色素やナノ粒子などを用いた光音響プローブに関してもご講演頂きました。

  光音響プローブを体内の特定部位(がん、脳内分泌タンパク質等)計測に用いる事で、非染色・非標識の計測よりも感度良く計測する事が可能となり、プローブに機能性を持たせる事で、研究対象として“見たい(診たい)”特定の情報を取得する事が可能になります。また、光音響プローブの励起光として近赤外線の波長を用いる事で、可視光による計測よりも深い情報を検出する事が可能です。

  その他に、音響変換効率よりも蛍光変換効率が高いとはいえ、既に多くの蛍光イメージングで活用されているプローブを光音響にも転用できる可能性もあり、アプリケーションは飛躍的に拡大する事が予想されます。この『蛍光イメージング』から『光音響イメージング』へのハードルの低さも大きな利点であり、蛍光イメージングを用いたご研究者の方々が光音響顕微鏡(PAM)に対して興味を持たれる大きな理由の1つだと思われます。

   また、評価精度の面から、他の生体イメージング技術である超音波診断技術や蛍光イメージング技術(マルチ・フォトン顕微鏡)との補完可能な技術である為、これまで長年蓄積した計測データとの評価検討利用等も可能で、様々な技術を合わせた総合判断の一助となる技術でもあります。この技術の有効性については、基礎研究から臨床応用までの広い範囲に拡大中です。


  指先端(甘皮部)での血管像(動脈/静脈)


  マウス臀部での表皮癌(メラノーマ)/血管像

   当社も光音響技法の可能性拡大のために、今後も増々の努力を続けていく所存ですが、更なるアプリケーション開発の為には、より効率の高い光音響プローブ開発や多波長計測に最適なチューナブルレーザーの発展・低価格化が必要になります。これらの課題は民間各社やご研究者の方々の努力により、必ずやブレイクスルーするものと考えております。

最後に石原先生には、非常にご多忙の中、本セミナーのためにとてもわかり易いプレゼンテーションを行っていただき、また、Wang先生には、このセミナーの為だけにご来日いただき非常にインパクトのあるプレゼンテーションを行っていただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

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